#3 ぎっくり腰

2024/09/22

ぎっくり腰は別名「魔女の一撃」とも言われており、一瞬にして腰の痛みが起こりひどい場合は動けなくなる人もいます。

通常放っておいても1〜2週間で落ち着いてくる場合が多いですが整体等で正しくケアをした方が回復が早い傾向にあります。

一度ぎっくり腰を経験すると癖になるという人もいますが、

なぜぎっくり腰が起こるのかを理解できると

本当に癖になるのか?繰り返すのは仕方ないのか?予防法は?などの答えが分かると思います。

ぎっくり腰はなぜ起こるのか?

ぎっくり腰は腰付近の筋肉の柔軟性が失われている、かつ限界まで硬くなった状態

ちょっとした刺激(かがむ動作やくしゃみでも起こります)をきっかけに発生します。

ゴムをイメージすると分かりやすいのですが

伸び縮みができる状態なら急に引っ張っても切れることはありません。

しかし、古く固くなったゴムは伸縮性を失っているので急に引っ張ったら千切れてしまいます。

それと同じようなことが腰の筋肉で起こっています。

腰に柔軟性が残っていれば伸ばしても縮めても(力を入れても)対応できますが、柔軟性がなければ筋肉を損傷してしまうのです。

つまり、ぎっくり腰は腰周辺の筋肉を損傷(傷ついてしまう)した状態なのです。

なぜ柔軟性が失われてしまったのか?

できるだけ早く治り、繰り返さないためには

硬くなった原因を取り除き、血流を良くしてあげることが大切です。

まずは柔軟性が失われた原因を考えていきましょう。

身体の使い方から柔軟性が失われる

腰というのは身体の上半身と下半身を分ける真ん中にあります。

構造上、上半身・下半身を使うときに姿勢を支えるなどして、私たちの日常での動きを助けています。

ありとあらゆる動きに関与するため、上半身や下半身の影響を受けやすいという特徴があります。

腕や手先をよく使う

立ちっぱなし・座りっぱなしが多い

歩きすぎ

中腰のような状態が長いなど

直接的・間接的問わず腰というのは日々私たちの活動を支え、働いているので

これらのような疲労が回復しないまま蓄積されると

腰がパンパンになって、ぎっくり腰になりやすくなります。

身体を使う仕事やスポーツはいいんじゃないの?

と思われる方も多いと思います。もちろん身体全体を使うことはいいことです。

問題なのは、人それぞれが持つ身体の癖、動きの癖によって

よく使う部分と使わない部分が極端になることです。特に特定のスポーツとなると

競技の特性上、カラダの使い方が偏る場合が多いです。

また、一日の疲労を睡眠や入浴によって解消されているか?がポイントになります。どんなに全身運動が身体に良いとしても、疲労が解消されずに蓄積されてしまっては毒にもなるのです。

内臓疲労から柔軟性が失われる

それだけでなく、腰椎(ようつい)という5つの背骨からは内臓にも神経が広がっており

内臓の疲労や異常も腰に影響を与えます。

例えば、腰椎5番は泌尿器に分布しています。

泌尿器系の異常(尿もれや過活動膀胱、前立腺肥大など)がある場合、腰椎5番も硬く関節の動きが悪くなっていたりします。逆に、姿勢が悪くなって腰椎5番に負荷をかけた状態を放っておいても泌尿器系の異常に繋がることがあります。

一つ上にある腰椎4番は生殖器に神経が繋がりますので、腰椎5番からの影響も当然起こりやすく

男性ならEDなどの影響・女性なら婦人科系疾患にも注意が必要です。

以下に、各腰椎と内臓系の関連をご紹介します。

・腰椎1番・・・脳、頭

・腰椎2番・・・消化器(胃腸)

・腰椎3番・・・腎臓

・腰椎4番・・・生殖器、消化器(特に大腸)

・腰椎5番・・・泌尿器、呼吸器(神経の分布ではなく力学的関連)

背骨も一つ一つが合わさって関節ができているので動くようにできています。

内臓からの負担が神経を介し腰椎周辺の筋肉や靭帯(じんたい)を硬くさせ、関節の動きが悪くなってしまうのです。

ここでは、内臓の負担からでもぎっくり腰が起こるんだ!

とざっくり理解していただければと思います。内臓疲労に関しては別の記事にて解説して行きます。

睡眠の質が悪いと柔軟性が失われる

睡眠の質が悪いとぎっくり腰だけでなく健康面の全てにおいて悪影響となるのでまず改善したいところです。

睡眠に関する詳細は別の記事で解説するとして、ここではぎっくり腰と睡眠の関係に話を絞ります。

睡眠不足・睡眠の質が悪いと

脳が十分に休まっていません。脳が休まらなければ神経や筋肉なども十分に緩まらず

血流が悪くなります。疲労物質も溜まり蓄積されていきます。

長年、睡眠不良で悩んでいる人の身体を調べてみると身体がガチガチに固まっており

背骨もまるで竹のように硬く柔軟性を失っています。

このような状態ではいつぎっくり腰を起こしても不思議ではありません。

睡眠は深さや時間も大事ですが、寝相がちゃんと動いているか?もポイントです。

一般的に子供ほど寝相が悪く、歳をとるほど寝相が良くなります。

寝相は身体の自己調整力にも関係していて

寝相が悪い=身体を動かして無意識にストレッチをしているのです。

歳をとると、だんだんと自己調整力が鈍くなってくるので寝相自体が起こらないのです。

つまり、寝相は実年齢関係なく

よく動く人ほど若く回復力が旺盛で、動かない人ほど老人体質で回復力が弱いと言えます。

睡眠の質は、眠りの深さや時間と合わせて寝相にも注目していただきたいのです。

まだまだ若いのに、朝起きて時の布団が寝た時の状態のまんまでは改善の余地があります。

早く回復するために

さて、ここまで大まかに原因となりやすいことを挙げました。

では早く回復するにはどうしたらいいのでしょうか?

冷やさない

接骨院や整骨院、整形などでは「ぎっくり腰」=「炎症」という理由で冷やすことがあります。

怪我には冷やす

という処置が定石となっているのですが、

冷やす行為は筋肉を硬くし血流を制限します。

経験上、冷やしてぎっくり腰の回復が早くなったことはありません。

むしろ入浴などで身体を温める方が硬直した筋肉も緩み、血流も促され動きが良くなるのです。

万が一、温めることで痛みが強くなる場合は、特別に温めなくても大丈夫ですが

だからといって冷やして回復するかと言われると疑問です。

柔軟性を失う生活習慣の改善

前述の通り、

・身体への負担

・内臓疲労

・睡眠の深さ、時間(※寝相はすぐには変えられません)

といった原因の習慣を変えなければなりません。

身体を休める、食べ過ぎや飲酒を控える、早めに就寝する(朝遅く起きるよりも大事)といった

基本的なことをまずは変えるだけでも回復が早くなりやすいのでおすすめです。

動いて治すべし

ぎっくり腰になった時にほぼ一日中横になって休む人もいますが

ぎっくり腰は日常生活レベルであれば動いている方が治るのが早い傾向にあります。

そもそもぎっくり腰は関節が動きにくくなっている状態のため

むしろ少しずつ関節を動かしたり、血流を促す方がいいのです。もちろん、負担になる程動かすのではありません。

皆さんも一日中横になっていて腰が痛くなった経験があったり

人からそんな話を聞いたことがあると思います。

ぎっくり腰で痛いからといって

動かさないようにしていると、むしろ関節の動きが悪くなってしまい、いざ動かすと痛くなるので

痛くても動いて治すほうがいいのです。

ぎっくり腰は癖になるのか?

ここまで解説してきた通り

ぎっくり腰は柔軟性が失われているのが問題で、

その原因は

身体の使い方、内臓疲労、睡眠

が大きく関係しています。

原因があるということは、原因が解消されれば繰り返すことはなくなります。

つまり、ぎっくり腰が癖になると言われるのは

根本的な原因が解決していないからなのです。

腰に負担をかける生活習慣をしていて、何度もぎっくり腰になっている。

運が悪い?….いやいや当たり前だよね?と思いませんか?

繰り返すぎっくり腰でお悩みの方は、まずは原因に向き合ってみてはいかがでしょうか?

ここには書かれていませんが、心理的な負担から腰に負担をかける場合も多々あるので

ぜひ精神編も参考にしてみてください。